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減価償却費ってなに??

2021/10/15

不動産投資をしている方は、「減価償却費」というワードを耳にしたことがあるのではないでしょうか。
以前「不動産投資が節税に繋がるって本当??」という記事を掲載した際に、「減価償却費」について少し触れました。
この「減価償却費」不動産投資をする上で必要な、「確定申告」の際に大切な知識です。
今回はオーナー様からのご質問も多い、「減価償却費」についてご紹介します。

 

減価償却とは

機械、自動車、建物など、収益に関わる固定資産は「減価償却資産」として扱われます。
資産価値が大きく、何年も使える資産は、時の経過や使用による劣化によって価値が下がっていきます。
そんな資産に対して、購入費用の全額を購入した年に経費として計上するのではなく、数年に分割計上するという仕組みが「減価償却」です。

例)工場が3,000万円の機械を購入。
年間利益1,000万円に対して、一気に2,000万円の赤字に・・・
⇒購入した機械はこの先何年もかけて利用し、利益を生み出すため、購入費用の計上も毎年少しずつ行う。
10年に渡って、毎年300万円経費として計上する・・・ということ。

 

例のように、購入費用は法律で定められた年数の間、毎年分割して経費として計上することができます。

 

節税と減価償却費のつながり

不動産投資の節税には、この減価償却費が重要なポイントになります。
減価償却をすることで、損益通算(所得の赤字と黒字を相殺すること)において所得を圧縮することができるのです。
不動産投資を事業として営んでいる方は難しいですが、サラリーマンの方など本業が別にある場合は有効でしょう。
経費が多く計上できれば、その分利益が減るということになるので、利益にかかる取得税を減らすことができます。
課税対象額が減ったことで、本来納めるべき税金も減らすことができるため、年末調整時では払いすぎている税金が後々還付されるという仕組みです。
通常の経費は実際の支出を伴いますが、減価償却費の場合実際の支出を伴うことなく、経費として計上することができるため、支出を抑えて税金を減らすことが可能です。

 

法定耐用年数と減価償却期間

減価償却について、併せて押さえなければならないのが「法定耐用年数」です。法定耐用年数とは、資産価値がなくなるまでの期間を法律で定めたものになります。
建物の構造や使用用途によって異なり、それぞれに償却率が定めされています。使用用途が住宅の場合、下記年数が定められています。

 

🏡マイホームなどではなく、賃貸物件などの事業用🏢

・木造:22年【償却率:0.046】
・鉄骨造(厚さ3mm以下):19年【償却率:0.053】
・鉄骨造(厚さ3~4mm以下):27年【償却率:0.082】
・鉄骨造(厚さ4mm以下):34年【償却率:0.038】
・鉄骨鉄筋コンクリート、鉄筋コンクリート造:47年【償却率:0.022】

対象の物件の築年数が、中古物件で法廷年数の一部を経過している場合は、下記計算式に当てはめて、減価償却期間を計算します。

【計算式】

減価償却期間=(法定耐用年数ー経過年数)+経過年数×20%
例)鉄筋コンクリート造の、築12年の物件の場合
(47年ー12年)+12年×20%=37.4⇒37年
※1年未満の端数があるときは、端数を切り捨てます。

法定耐用年数の全部を経過済みの場合は、下記計算式になります。

 

【計算式】

減価償却期間=法定耐用年数×20%
例)鉄筋コンクリート造の、築50年の物件の場合
47年×20%=9.4⇒9年
※1年未満の端数があるときは、端数を切り捨てます。

 

減価償却費の計算方法

減価償却費は建物部分のみ適用され、土地は対象外となります。
そのため、土地・建物の価格を分けるという作業が必要になります。
実際に減価償却費を求めるには2つの方法がありますが、平成19年4月1日以降、不動産の減価償却費は定額法が基本です。

 

(1)定額法

1年間の減価償却費を原則一定とし、法定耐用年数に則って計算する方法です。
法定耐用年数の期間中に、毎年同じ額の減価償却費を計上していきます。

【計算式】

減価償却費=取得価格×定額法償却率
例)3,000万円×0.046=138万円
取得価格:3,000万円
耐用年数:22年
償却率:0.046
毎年138万円ずつ価値が下がり、22年後に0円になるという計算です。

 

(2)定率法

償却した金額を考慮したうえで計算する方法です。
定額法と異なり、費用として計上される減価償却費は毎年低減していきます。
※税制改正で、平成19年4月1日以降に取得した建物、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備、構築物等において定率法は廃止されています。

【計算式】

減価償却費=(取得価格ー前年まで償却した金額)×償却率

・旧定率法:平成19年3月31日までに取得した資産
・250%定率法:平成19年4月1日から平成24年3月31日までに取得した資産
(平成19年4月1日から定額法の償却率を2.5倍にした数値を償却率とする方法)
・200%定率法:平成24年4月1日以後に取得した資産
(定額法の償却率を2.0倍にした数値を償却率とする方法)

 

売却時の注意点

不動産を売却する場合、売却したことによって生じた利益にに対して「譲渡所得税」が発生します。
譲渡所得税は下記計算式に当てはめた際に、譲渡所得がマイナスになれば課税されません。
「売買代金が購入した金額よりも安く手放すことになるから、譲渡税はかからないのでは?」という質問をよくいただきますが、購入した金額よりも安い売買価格で売却することになったとしても、減価償却費によって利益がプラスに転じ、譲渡所得税が発生する場合があります。

また、譲渡税は不動産を所得していた期間によって税率が異なり、所有期間が5年を超えているかどうかによって変わります。
所有期間が5年以内の場合は「短期譲渡所得」、税率は39.63%です。
所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、税率は20.315%となります。
(※どちらも2037年までは、所得税に対して2.1%の復興特別所得税が加わります。)

【計算式】

譲渡所得=譲渡価格ー(取得費+譲渡費用)
※1.譲渡価格:固定資産税・都市計画税清算金を含む売却金額
※2.取得費:(購入代金ー減価償却費)+購入時の費用(仲介手数料、登記費用等)
※3.譲渡費用:売却時の費用(仲介手数料、抵当権抹消費用等)

実際に2つの例を見てみましょう🏡

例1)譲渡価格:3000万円
購入代金:3500万円
減価償却費:250万2900円
購入時の費用:75万円
譲渡費用:105万円
3000万円ー{(3500万円-250万2900円)+75万円}+105万円
=-219万7100円
この場合、譲渡所得がマイナスのため課税されません。

 

例2)譲渡価格:3000万円
購入代金:3200万円
減価償却費:250万2900円
購入時の費用:75万円
譲渡費用:105万円
3000万円ー{(3200万円-250万2900円)+75万円}+105万円
=+80万2900円
《税額》80万2900円×20.315%(所有期間5年超)=16万3109円
この場合は、16万3109円の譲渡所得税が発生します。

 


実際の支出を伴うことなく、経費として計上することができる減価償却費は、正しく活用することで節税に繋がります。
一見難しく感じてしまいますが、今後の資産運用にお役立ていただけたら幸いです。

エコパートナーズでは、これから不動産投資を始めようと検討している方も、すでに不動産投資を始めている方も、無料相談を受け付けております。
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